音読療法の基本的な手順

なにか不安なことがあったり、危険を感じたりすると、人の身体は萎縮しがちになります。知らず知らずに身体を丸めたり、縮こまらせたりしてしまいます。

これは生物学的には正しい防衛反応で、人も生き物である以上、そのように反応するのが自然であるといえます。

しかし、人以外の動物は大脳皮質があまり発達していないため、危険が去ればそのことをいつまでも抱えこんだりはしません。
記憶や思考能力が発達した人間だけが、トラウマを抱えてしまうのです。

そうならないためには、その人に、すでに危険は去りいまは安全であること、あるいは情報に接しているあなた自身は安全であり、情報に振り回される必要はないことを、実感してもらう必要があります。

ですからケアワークは、安全であり、だれもが安心してくつろげるような場所でおこなうのが望ましいのです。

ケアを必要としている人は、まず身体が緊張したままほぐれず、不安な目をしています。
一番の特徴は、呼吸が浅いこと。

そのことを本人もわかっていることが多いようです。
呼吸が浅く、息苦しい感じがずっとつづいています。
そのせいで、ゆったりした声で話せない。自分の気持ちをうまく人に伝えることができません。

わかっているので無理に深呼吸して落ち着こうとするのですが、うまくいきません。しばらくはそれで落ち着いても、すぐにまた呼吸が浅くなってしまいます。

こういうときにもっとも有効なのは、呼吸を中心とした自分の身体のありようそのものに気づき、外の世界で起こっていることと、いまある自分の存在との距離を実感してもらうことなのです。

距離にはふたとおりあります。
遠い/近いという物理的な距離。
もうひとつは、時間的距離。

人は想像力や記憶力を持っているので、過去に起こったことをいつまでもくよくよと悩んでいたり、これから起こるであろうことを思いめぐらせて不安を感じたりします。
しかし、それも、「いま現在」という自分自身の存在に目を向けることができたとき、落ち着くことができます。

まずやってもらうのは、呼吸を深くしていくことです。

たんなる深呼吸ではありません。深呼吸というのは自発呼吸の一種ですが、ただ深く息を吸って吐き出すだけでは、無自覚な自発呼吸にすぎません。自覚的な自発呼吸が有効です。

自発呼吸は自然呼吸と対比しています。

私たちはいつも自然に、無意識に呼吸していますが、意識的に息を吸ったり吐いたりすることを自発呼吸といいます。
自発呼吸にも、吸気の自発呼吸と、吐気の自発呼吸があります。

メンタルケアでは、この吐気の自発呼吸がとくに有効です。この方法もセミナーや養成講座ではお伝えします。

呼吸のあとは「発声を使ったボディスキャニング」をおこないます。

ボディスキャニングのあとは、体幹マッサージです。

マッサージといっても、人がもんだり触ったりするのではなく、セルフケアとしてひとりでやれるもので、呼吸や姿勢保持に使う体幹の筋肉を柔らかに動かしたり、伸ばしたりするのです。ストレッチといいかえてもいいでしょう。

身体がほぐれたら、音読をします。

読みながら、呼吸や姿勢などの緊張をチェックしていきます。
このとき、リラックスできていれば、感覚は読むことだけでなく身体の外側にも開いていき、読みながら同時にいろいろなことを感じられるようになるでしょう。

感覚が開きにくい人には、音楽を聞きながら読んでもらいます。
このとき、療法士は読む人の声や身体の状態を見ながら、寄り添うように音を出すように心がけます。

安心していられる場所、安心できる相手がいれば、まずはそこで気持ちを落ち着かせるのが一番いいでしょう。

 

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